まだ、旅の準備をしています。

前回は、以前から知っている人にも、所属や肩書からは見えない接点があることに気づきました。

人の地図は、所属や肩書だけでは描けない。

そして、人と話すことでも地図は更新されていく。

ただ、まだ話したことのない人や組織については、まず調べるところから始めるしかありません。

そこで今週は、これまで地図に「企業」「行政」「大学」と書いていたところを、実際の組織に置き換えてみることにしました。(関連記事)

「企業」だけでは、やはり粗すぎた

雪国の道路や歩道には、多くの企業や行政、大学などが関わっています。

それは以前から分かっていました。

ただ、「企業」と一言で書いても、その役割は同じではありません。

実際に調べてみると、道路や歩道の工事をする企業があります。

舗装を手がける企業もあります。

除雪や維持管理に関わる企業もあります。

材料や工法を提供する企業もあります。

今回調べた中には、施工だけでなく、除雪や維持管理など複数の役割に関わっている企業もありました。

行政には、道路を計画・整備し、維持管理や雪対策を進める役割があります。

大学や研究機関では、寒冷地の道路、舗装、雪や氷など、それぞれの分野で研究が行われています。

これまで「企業」「行政」「大学」と大きく書いていた地図の中に、少しずつ具体的な組織と役割が見えてきました。

個別の企業や組織の名前を並べることが今回の目的ではないので、ここでは名前は挙げません。

それよりも私にとって重要だったのは、同じ道路や歩道に関わっていても、それぞれが担っている役割はかなり違うと具体的に見えてきたことでした。

そこには、長年取り組んできた人たちがいる

もう一つ、改めて感じたことがあります。

そこには、雪国の道路と長い間向き合ってきた人たちがいるということです。

毎年、雪が降る。

凍る。

傷む。

除雪する。

補修する。

そして、また冬が来る。

そんな環境の中で、道路をつくり、守り、維持してきた人たちです。

一方、私はこの世界では新参者です。

歩道で転んだことをきっかけに疑問を持ち、文献を調べ、使えそうな技術を探し、自分なりに仮説を立ててきました。

でも、寒冷地の道路について、何か誇れるような実績があるわけではありません。

この違いは、きちんと認識しておく必要があると思っています。

まず、現場の経験を知りたい

これまで私は、雪国の歩道に使えそうな技術をいろいろと調べてきました。

自分たちの材料技術を使えないか。

凍結を抑えられないか。

滑りにくくできないか。

路面だけでなく、路盤や中間層から考えられないか。

調べれば、いろいろな可能性が出てきます。

でも、それを調べたからといって、現場のことが分かったわけではありません。

実際には何に困っているのか。

これまで、どんなことを試してきたのか。

なぜ今の方法になっているのか。

技術的にはできそうでも、現場では難しいことはないのか。

私が文献を読んで「これは使えるかもしれない」と思ったものを、長年この分野に関わってきた人はどう見るのか。

教えてもらいたいことの方が、ずっと多そうです。

もちろん、具体的な技術を評価してもらう段階では、試作品やデータが必要です。

その考えは変わっていません。(関連記事)

ただ、何を作るべきかを決める前に、現場で何が問題になっているのかを知る必要があります。(関連記事)

自分たちだけで答えをつくるのではなく、まず長年この分野で仕事をしてきた人たちの経験を知る。

そのうえで、こちらが持っている技術や考え方の中に、役に立つものがあるのかを考える。

今は、その段階なのだと思います。

ただし、これはインターネットで調べた地図だ

今回のテーマについて、道路の施工や維持管理に長く関わってきた企業や組織の方から、具体的に話を聞く段階にはまだ進んでいません。

今回分かったことの多くは、インターネット上の情報です。

企業のWebサイトを見れば、掲載されている範囲で、事業内容や施工実績を知ることができます。

行政のWebサイトを見れば、どのような仕事をしているのかもある程度分かります。

大学や研究機関なら、研究テーマや論文も探せます。

でも、それは公式に外へ出ている情報です。

冬の現場で本当に困っていること。

長年やってみて分かったこと。

うまくいかなかったこと。

技術的にはできても、実際の施工や維持管理では難しいこと。

そうしたことまで、Webサイトから読み取るのは難しいでしょう。

実際の組織名まで地図に書き込むことはできました。

でも、その組織の中にいる人たちが何を考え、何に困り、どんな経験を積み重ねてきたのかまでは分かりません。

そこから先は、やはり人に会って話を聞く必要がありそうです。

今度は、誰に何を聞くのか

大学の先生との面談で何を聞くかは、これまでにも考えてきました。(関連記事)

今回、地図に加わったのは、施工や除雪、維持管理、材料や工法などを担う企業や組織です。

研究者に相談する場合と、現場を担う人から経験を聞く場合では、話の入り方や質問も違うのかもしれません。

施工する人なら、実際につくるときに何が難しいのか。

維持管理する人なら、冬を越したあとに何が問題になるのか。

除雪に関わる人なら、路面や歩道の構造によって作業にどんな違いが出るのか。

材料や工法を扱う人なら、寒冷地で使うときにどんな制約があるのか。

もちろん、これは今の私が想像している質問にすぎません。

実際に話を聞けば、「そこではない」と言われるかもしれません。

それなら、それも大事な発見です。

何も整理せずに訪ねれば、相手を困らせてしまいます。

一方で、すべて準備してからと思っていると、いつまでも動けません。

おそらく、少し調べ、話を聞き、地図を修正する。

その繰り返しなのでしょう。

地図の解像度が、一段上がった

今回やったことは、これまで描いてきた地図を一段詳しくしたことです。

「企業」「行政」「大学」と書いていたところに、実際の組織と、その役割を書き加えてみました。

すると、「企業」という一つの言葉の中にも、施工する人、維持する人、雪に対応する人、材料や工法を提供する人など、違う役割があることが具体的に見えてきました。

そして、その中には、長年にわたって寒冷地の道路に関わってきた組織もあります。

だからこそ、こちらの考えを持ち込むだけではなく、まず、その人たちが積み重ねてきた経験を知りたいと思います。

その中で、自分たちが持っているものに役割があるのかを考えてみたい。

地図には、具体的な組織が少しずつ書き込まれてきました。

次に考えなければならないのは、地図に書き加えた組織のうち、まず誰に、何を聞くのか。

ここから先は、インターネットで調べるだけでは進みません。

たぶん、すんなりとはいかないでしょう。

でも、たぶん面白いのも、ここからです。