前回、札幌の地域課題を追いかける中で、雪対策にたどり着いたことを書きました。

現地の方々に話を聞き、実際に歩き、資料を見ていく中で、札幌にとって雪対策は避けて通れない課題だと感じるようになりました。

そして、その雪対策を見ていくうちに、私の中で特に気になり始めたのが歩道でした。

幹線道路や主要道路は、比較的きちんと補修されているように見えます。

一方で、歩道や生活道路には、ひび割れや凸凹が目立つ場所がありました。

冬になると、歩道は雪の置き場所にもなります。

人が歩く場所でありながら、雪を受け止める場所にもなる。

そこに、歩道ならではの難しさがあるのではないかと感じました。

歩道を何とかしたい。

そう思いました。

ただ、そう感じているのは、私だけではないはずです。

雪道で滑りそうになった人。
冬靴を履いていても転んだ人。
ベビーカーを押しにくいと感じた人。
高齢の家族の外出を心配した人。
歩道の凸凹で歩きにくいと感じた人。

きっと、同じように困っている人は大勢いると思います。

それなら、すでに何らかの技術や対策があるのではないか。

道路や歩道の傷みは、どのような仕組みで発生するのか。
それに対して、どのような技術が開発されているのか。
札幌市では、どのような取り組みが行われているのか。

まずは、そこを調べてみることにしました。

ここで大事だと思ったのは、思いだけで話を進めないことです。

「歩道を何とかしたい」と言うだけなら、誰でもできます。

しかし、何の実績もない状態で、いきなり歩道対策をしたいと言っても、簡単には聞いてもらえません。

地域課題に取り組むには、思いだけでは足りない。

聞いてもらえるだけの材料が必要です。

そして、実際に解決へ近づけるだけの技術的な裏付けも必要です。

だから私は、まず自分なりに調べることから始めました。

最初に調べたのは、雪対策そのものです。

除雪とは何か。
排雪とは何か。
車道と歩道では、扱いにどのような違いがあるのか。
限られた人員や予算の中で、どこが優先されているのか。

雪対策は、単に雪をどける作業ではありません。

通勤や通学を支えるものです。
物流やバスの運行にも関わります。
高齢者の外出や、子どもの通学にも関わります。
そして、毎年必ず繰り返されます。

雪対策を知らずに、札幌の歩道を考えることはできない。

そう感じました。

次に調べたのが、道路や歩道にひび割れや凸凹が発生するメカニズムです。

寒冷地では、舗装の隙間に水が入り込みます。

その水が凍ると膨張します。

その後、気温が上がると氷が溶けます。

凍る。
溶ける。
また凍る。

この繰り返しによって、舗装の隙間が広がり、ひび割れや剥がれ、凸凹につながっていく。

そのような流れがあるように理解しました。

ここで気づいたのは、車道と歩道で、不具合が発生する基本的なメカニズムは大きく変わらないように見えることです。

もちろん、車道には車の荷重があります。

歩道には歩行者、自転車、除雪機械、雪山、融雪水など、また別の負荷があります。

使われ方は違います。

しかし、寒冷地で舗装が傷むという意味では、道路も歩道も、かなり近い問題を抱えているように感じました。

では、道路向けに開発されている技術を歩道にも使えばよいのではないか。

最初はそう考えました。

そこで、対応技術についても調べてみました。

すると、道路向けの技術開発はかなり進んでいることが分かりました。

凍結を防ぐ技術。
融雪を助ける技術。
舗装を長持ちさせる技術。
除雪や維持管理を効率化する技術。

さまざまな技術が検討されています。

しかし、ここで一つ引っかかりました。

道路向けの技術には、車の重さや車の走行を前提にしているものがあります。

車が通ることで効果を発揮する。
車道の交通量を前提にしている。
車道の使われ方に合わせて設計されている。

そうした技術は、人が歩く歩道にそのまま横展開できるとは限りません。

歩道は、単に車道を小さくしたものではありません。

歩く人がいます。
高齢者がいます。
子どもがいます。
ベビーカーや車いすを使う人もいます。
冬には雪が積まれ、春には融けた水が流れます。

車道と同じように傷む部分がある一方で、車道と同じ技術をそのまま使えない部分もある。

ここに、歩道対策の難しさがあるのではないかと思いました。

最後に、札幌市の取り組みについても調べました。

札幌市が何もしていないわけではありません。

むしろ、雪対策や道路維持には、相当な労力がかかっているはずです。

私が公開資料を読んだ範囲では、限られた人員や予算の中で、都市機能への影響が大きい幹線道路や主要道路を優先して対応しているように見えました。

これは、私の感覚としては当然だと思います。

幹線道路が止まれば、通勤、物流、バス、緊急車両などへの影響が大きくなります。

経済活動にも直結します。

だから、優先順位として主要道路が重視されるのは合理的です。

一方で、その結果として、歩道や生活道路の困りごとは後ろに回ってしまっている。

そう感じました。

ここで分かってきたのは、歩道の問題は、単に「誰かが直せばよい」という話ではないということです。

不具合が発生するメカニズムは道路と似ている。

しかし、道路向けの技術をそのまま歩道に使えるとは限らない。

さらに、行政の限られた人員や予算の中では、幹線道路や主要道路が優先されやすい。

つまり、歩道の問題は、技術、運用、優先順位が重なったところにあるように見えました。

だとすれば、歩道には歩道としての考え方が必要なのではないか。

そして、ここに自分たちが持つ技術で入り込む余地はないのか。

現時点の世の中の技術レベルでは、どこまでできるのか。

既存技術では難しい部分に対して、自分たちの技術でブレークスルーできる可能性はないのか。

次に考えるべきことは、そこでした。

地域課題に取り組むには、まず聞いてもらえるだけの材料が必要です。

そして、解決に近づけるだけの技術力も必要です。

歩道を何とかしたい。

その思いを、ただの思いで終わらせないために、次は技術の可能性をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。