前回の記事では、専門家に会うなら、言葉だけではなく何か形になったものを持っていく必要があるのではないか、と考えたことを書きました。

(前の記事:専門家に会うなら、何を持って行けばいいのだろう)

では、何を作るのか。

いろいろ考えているうちに、少し違うことに気づきました。

そもそも私は、何をしたかったのでしょう。

私が思いつくことは、たいてい誰かがやっている

何か形にするといっても、いきなり良いアイデアが出てくるわけではありません。

歩道に雪が積もらないようにできないか。

滑らないようにできないか。

凍上を防げないか。

考えれば、いろいろなアイデアは浮かびます。

でも、ここでいつも思い出す言葉があります。

新入社員の頃に先輩から言われた、

「お前が思いつくようなことは、たいてい誰かが先にやっている。」

という言葉です。

だから、思いついたらまず調べる。

実際に調べてみると、やはりいろいろな技術があります。

当然です。

雪や凍結に困っているのは私だけではありませんし、長い間、多くの専門家が研究してきた分野です。

そうなると、単に「こんなアイデアを思いつきました」だけでは、なかなか次には進めません。

モノやサービスがないと、話は進みにくい

もう一つ、これまで動いてみて感じたことがあります。

やはり、実際のモノやサービスがある方が話は進みやすいということです。

「こんなことをやりたい。」

「こんなものができたらいい。」

そう話すことはできます。

でも、それだけでは相手も評価のしようがありません。

小さな試作品でも、実験結果でも、何らかのサービスでもいい。

「私たちは、こんなことができます。」

と見せられるものがある。

そうなって初めて、

「これは面白い。」

「ここは使えそうだ。」

「ここはダメだ。」

という具体的な話ができるのだと思います。

やりたいことから始めなくてもいいのかもしれない

では、最終的にやりたいことにつながるモノを、いきなり作ればいいのか。

ここでも少し考えました。

私は道路の専門家ではありません。

歩道を設計することもできませんし、舗装を施工することもできません。

そんな私が、いきなり道路や歩道の世界で新しいものを作ろうとしても、簡単ではありません。

それなら、まず自分たちの得意なところから始めればいいのではないか。

そこで小さくても実績をつくる。

「こんなことができます。」

と言えるものを一つ持つ。

そこから少しずつ、やりたいことに近づいていく。

遠回りのようですが、その方が現実的なのかもしれません。

ところで、私は何をしたいのだろう

そんなことを考えているうちに、もっと根本的なことに気づきました。

私はこれまで、

「札幌の歩道を何とかしたい。」

と考えていました。

でも、歩道をきれいにすること自体が目的なのでしょうか。

違うような気がします。

私が気になったのは、歩いていて危ないことでした。

雪が積もり、それが凍ると滑りやすくなります。

凍結と融解を繰り返してアスファルトが傷み、穴ができれば、つまずきやすくなります。

凍上によって路面が持ち上がり、雪が解けた後に凸凹やひび割れが残れば、そこでもつまずく可能性があります。

歩いている人だけではありません。

車いすやベビーカーなら、凸凹した歩道を通るだけでも大変です。

そう考えていくと、私がやりたいことは「歩道を直すこと」ではありませんでした。

路面が原因で、転んだり、滑ったり、つまずいたりする人を減らしたい。

そして、車いすでも、ベビーカーでも、できるだけ安全に移動できるようにしたい。

こちらの方が、私が考えていたことに近そうです。

目的と手段を逆にしていたのかもしれない

これまで私は、「歩道」というものを中心に考えていました。

でも、歩道は目的ではなく、対象の一つだったのかもしれません。

安全に移動できるようにすることが目的なら、そのための方法はいろいろあります。

雪を何とかする方法。

凍結を防ぐ方法。

滑りにくくする方法。

凍上を抑える方法。

壊れにくくする方法。

危険な場所を見つける方法。

必ずしも、最初から歩道そのものを作り変える必要はありません。

そう考えると、「まず得意なところから実績をつくる」という考え方ともつながってきます。

最終的にやりたいことと、最初に取り組むことは、同じでなくてもいい。

まず、自分たちができるところから始める。

そこで何かを形にする。

それを持って、その分野を知っている人に話を聞く。

そして、また考える。

その繰り返しでいいのかもしれません。

「歩道を何とかしたい」と考えて始めましたが、少しずつ自分が目指しているものが見えてきました。

さて、自分たちの得意なところから、何ができるのでしょう。

次は、そこを考えてみようと思います。