前回の記事では、生成AIを仕事で使うなら、何でもAIに任せるのではなく、仕事を分けて考えた方がよいのではないかと書きました。
(前回の記事:生成AIはこんなに便利なのに、仕事で使うと何が難しいのだろう)

ルールで処理できるところは、これまでのIT。

これまで人がやっていた仕事のうち、生成AIが得意なところはAI。

判断や確認、仕上げが必要なところは人。

では、これで生成AIを仕事で使えるのか。

そう簡単ではありません。

仕事で生成AIの話をすると、避けて通れない話があります。

「AIに仕事の情報を入れて、セキュリティーは大丈夫なの?」

という問題です。

「セキュリティーが心配」は、もっともな話

生成AIは便利です。

でも、仕事で使う情報には、外へ出してよいものと、出してはいけないものがあります。

個人でブログの記事を考えるのとは違います。

会社の情報を扱う以上、

「便利だから使えばいい。」

では済みません。

どんな情報を入力してよいのか。

入力した情報はどこへ送られるのか。

その情報はどのように扱われるのか。

会社として、どのサービスなら使ってよいのか。

こうしたことを確認する必要があります。

だから、

「セキュリティーが心配だ。」

という意見そのものは、もっともだと思っています。

ただ、そこで生成AIを使わないという結論にしてしまうのは、少しもったいない。

前回書いたように、実際に使ってみると、生成AIが得意な仕事は確かにあります。

だったら、安全に使う方法を考えればいい。

そう思いました。

そんなに心配なら、外に出さなければいい?

そこで、かなり単純なことを考えました。

外部の生成AIサービスへ仕事の情報を送ることが心配なら、

「外に出さなければええんちゃう?」

自分のPCの中で生成AIを動かせばいい。

調べてみると、LLMを自分のPCで動かす「ローカルLLM」という方法があります。

これなら、外部の生成AIサービスへ情報を送らず、PCの中で処理を完結できる可能性があります。

「おお。これならいいのでは?」

と思いました。

もちろん、私はLLMを開発しているエンジニアではありません。

かなり素人考えです。

そして、ここは大切なので先に書いておきます。

ローカルで動かせば、それだけで安全になるわけではありません。

使うソフトは外部と通信しないのか。

どのファイルへのアクセスを許すのか。

そもそも会社のルール上、使ってよいのか。

確認しなければならないことは別にあります。

実際の仕事で使えるかどうかは、それらも含めて考える必要があります。

そこで私は、まず個人のPCにローカルLLMを入れ、仕事の機密情報は使わずに、どんなものなのかを試してみることにしました。

そして、ローカルLLMに興味を持った理由は、セキュリティーだけではありませんでした。

PCの面倒な作業もやってほしい

パソコンを使っていると、定型的な作業が結構あります。

ファイルを確認する。

決められた場所へデータを移す。

内容を確認して別のシステムへ登録する。

同じような操作を繰り返す。

「これ、人が毎回やらなくてもいいよな。」

と思う作業です。

もちろん、プログラムを書けば自動化できるものもあります。

実際、私もルール化できる作業については、生成AIにプログラムを書いてもらいながら自動化するようになりました。

ただ、自分で一からプログラムを組み上げるとなると、私にはまだハードルがあります。

そこで、また都合のよいことを考えました。

LLMに日本語で、

「このフォルダを確認して、これを処理しておいて。」

と頼んだら、やってくれないだろうか。

これができれば、プログラムを細かく書かなくても、普段使っている言葉でPCの作業を頼めるかもしれません。

しかも、外部の生成AIサービスへ情報を送らずにできるかもしれない。

「これ、ええやん。」

となりました。

ただ、この時の私は一つ大事なことを十分に理解していませんでした。

LLMをPCで動かすことと、LLMにPCを操作させることは、同じではありません。

LLMにファイルを読ませたり、移動させたり、プログラムを実行させたりするには、LLMとPCの機能をつなぐ仕組みが必要になります。

この違いは、実際に試していく中でだんだん分かってきました。

AIにPCを任せるのは、ちょっと怖い

もちろん、AIにPCを操作させる仕組みも出てきています。

私もそうしたものを見ています。

便利そうです。

でも、ここで別の心配が出てきました。

「これ、どこまで動かして大丈夫なのだろう?」

自分が仕組みを十分理解していない状態で、AIにPCの操作を広く任せる。

これは、私には少し怖い。

ファイルを間違えて書き換えたらどうするのか。

意図しない処理をしたらどうするのか。

考えてみれば、AIがPC上でできることは、こちらがどんな機能と権限を与えるかによって変わります。

そうすると、

「AIを信用できるか。」

だけを考えていても仕方がありません。

「AIに何を許可するのか。」

こちらも考える必要があります。

最初は、情報を外へ出さないことばかり考えていました。

でも、PCを操作させるなら、情報が外へ出ることだけでなく、ファイルを間違えて変更したり、消したりすることも考えなければならない。

セキュリティーと一言で言っても、考えることはいろいろありそうです。

前回の記事で、

どこまでAIに任せるのかを決め、その結果に責任を持つのは人

と書きました。

そう書いた本人が、自分でもよく分かっていない仕組みにPCを丸ごと任せるのも変な話です。

そこで、

「まずは自分で分かる範囲からやってみよう。」

と思いました。

だったら、自分で動かしてみよう

まずは個人のPCの中でLLMを動かしてみる。

仕事の機密情報は使わない。

どんな処理をさせるのかも、自分で少しずつ試す。

これなら、ローカルLLMの使い勝手や限界を自分で確かめることができます。

普通のPCでも動くのか。

どのくらいのことができるのか。

どのくらいの速さで答えてくれるのか。

そして、本当にいつか日本語で、

「これ、やっといて。」

と頼めるようになるのか。

調べているだけでは、使い勝手までは分かりません。

だったら、やってみよう。

ということで、自分のPCにローカルLLMを入れて、実際に動かしてみることにしました。

この時点の私の頭の中では、

外部へ情報を送らずにAIを使えるかもしれない。

面倒なPC作業も任せられるかもしれない。

なかなか良いアイデアに思えていました。

さて、実際にやってみた結果はどうだったのか。

それは次回に書きます。

先に一言だけ書いておくと、

そんなに甘くありませんでした(笑)。