生成AIは、ずいぶん賢くなりました。

プログラムを作るだけでなく、複雑な資料を分析したり、セキュリティ上の問題を見つけたりすることもあります。

ところが、そんなAIにちょっと意地悪な質問をしたところ、思いがけず面白い展開になりました。

今回は、ChatGPT、Gemini、Claudeに同じ質問をしてみた話です。

日曜日の午前中、3人とドライブしています

質問は、たったこれだけです。

毎週日曜日の午前中、かなこ、えめ、あきよと順番にドライブしています。

さて、何のことでしょう?

実は、この質問には仕掛けがあります。

私が聴いているのは、Kiss FM KOBEで放送されている3つのラジオ番組です。

「かなこ」はラジオドラマの登場人物の月原加奈子さん、「えめ」は歌手のAimerさん、「あきよ」は番組パーソナリティの吉田明世さんです。

私は日曜日の午前中、Kiss FM KOBEでこの3番組を順番に聴きながらドライブしています。

つまり、3人と実際にドライブしているわけではありません。

もちろん、そんなことは質問文に書いていません。

ちょっと意地悪ですよね。(笑)

ただし、この質問には、文面だけから一つに決まる正解があるわけではありません。ここでいう「答え」は、あくまで私が用意したものです。

それでも、AIがこの短い質問からどこまで可能性を考え、関連する情報を見つけられるのか、試してみたかったのです。

3つのAIは、どう答えた?

ChatGPT、Gemini、Claudeに質問してみました。

最初の段階では、どれも私が想定した答えにはたどり着きませんでした。

「何のことかわからないので、ヒントをください」

そんな反応です。

正直、ちょっと拍子抜けしました。

でも、考えてみれば当然かもしれません。ラジオ番組だという大切な情報を、こちらが意図的に隠しているのですから。

根拠の薄い答えをもっともらしく作らず、ヒントを求めるのは堅実な対応です。

以前、「AIはもっともらしく間違える。では、何を信じればよいのか」でも、AIの答えをどう受け止めるかについて考えました。今回の反応を見て、そのことを改めて思い出しました。

それでも、少し物足りなさを感じました。

「かなこ」「えめ」「あきよ」という3つの呼び名、日曜日の午前中、順番にドライブするという手がかりから、何か可能性を考えてくれないだろうか。

「もしかして、こういうことですか?」

そんな仮説を一つでも出してくれたら、もっと面白かったのに。

番組や放送時間などの情報は、インターネット上に公開されています。

Web検索を利用できる設定にもしていました。ただし、当時の記録を残していなかったため、最初の回答で各AIが実際に検索したかどうかは確認できません。

複雑な問題を扱えるAIが、こんな身近な問いでは、意外と慎重になる。

その違いが気になりました。

ヒントを出すと、少しずつ変わってきた

そこで、3つの生成AIサービスに少しずつヒントを出してみることにしました。

ヒントを出していくと、それぞれ反応が変わり、少しずつ私が用意した答えに近づいていきました。

質問の仕方や推測の進め方には、それぞれ特徴があります。

当時は、後になってこのやり取りを記事にするとは思っておらず、詳しい記録を残していませんでした。(笑)

記憶の範囲では、こんな質問がありました。

「何時間ドライブするのですか?」

私は「1時間半」と答えました。

すると、今度は、

「一人30分ですか?」

という質問が出てきました。

おっ、いいところに目をつけたな。

実際、私が聴いている3つの番組は、それぞれ25分から30分ほどで、全体では約1時間半になります。

そこから、決まった時間に何かを順番に楽しんでいるのではないか、という方向に推測が進み、ラジオ番組の可能性も出てきたように記憶しています。

もちろん、こちらも簡単には答えを教えません。

ラジオだとわかってしまうようなヒントは、できるだけぼかしました。(笑)

最初は見当がつかなかったのに、対話を重ねるうちに推測が進んでいく。

この過程が、なかなか面白かったのです。

以前、「AI社員は、学業優秀な新入社員だった」でもAIとのやり取りを取り上げましたが、今回は私が答えを知ったうえで、AIの推測を眺めているところが少し違います。

公開されている情報でも、なぜたどり着けない?

ここから、少し考え込んでしまいました。

今回の3人は、それぞれ別の番組に登場します。

個々の番組の情報は公開されています。しかし、3人がこの順番で登場するという関係は、世の中でほとんど話題になっていないでしょう。

放送局や地域によっては、そもそもこの順番にならないかもしれません。

そう考えると、AIが最初からこの3人を結びつけなかったことにも、少し納得がいきます。

LLM(大規模言語モデル)は、大量の情報を学習しています。しかし、世の中に存在する情報をすべて記憶しているわけではありません。

また、個々の情報を学習していたとしても、その組み合わせを必ず見つけられるとは限りません。

では、もし日本中の人が毎週この3つの番組を順番に聴き、その話題がニュースやインターネットにあふれていたら、どうでしょう。

AIも、今より簡単に関連を見つけられるのではないでしょうか。

もちろん、これは私の推測です。今回の実験だけで、その原因を確かめることはできません。

でも、世の中でよく語られる関係と、ほとんど語られない関係では、AIにとっての見つけやすさが違うのではないか。

そんな疑問が浮かびました。

「知っている」と「気づく」は違うのかもしれない

今回、もう一つ気になったことがあります。

AIは、Web検索もできます。

学習していない情報でも、インターネット上にあれば調べられる可能性があります。

ところが、今回の質問では、少なくとも最初の回答に、ラジオ番組という方向の推測は現れませんでした。

考えてみれば、検索するためには、まず何を調べるかを決めなければなりません。

「ラジオ番組かもしれない」という仮説が候補に上がらなければ、ラジオ番組の放送時間を調べる方向にも進みにくいでしょう。

つまり、情報にアクセスできることと、どの情報を探せばよいか見当をつけることは別なのです。

今回の体験で、特に興味を持ったのはここでした。

ただし、実際にAIがどのような候補を検討し、何を検索したのかまでは確認できていません。珍しい組み合わせだから見つからなかった、というのも一つの仮説にすぎません。

それでも、ヒントを追加すると質問や推測が変わっていったことは、印象に残りました。

次は、どこまでできるようになるのだろう?

今回、3つの生成AIサービスは、最初から私が用意した答えを言い当てたわけではありません。

しかし、ヒントを出していくと、追加した情報を手がかりに、少しずつ答えに近づいていきました。

情報が不足していることを認識し、質問する。そして、追加された情報をもとに推測を進める。

考えてみれば、これもなかなかすごいことです。

一方で、世の中に公開されている情報を組み合わせるだけでも、最初から適切な仮説を思いつくとは限らない。

この落差が、今のAIの面白いところなのかもしれません。

これからAIがさらに進化すれば、あまり知られていない情報同士の関係にも、自分から気づけるようになるのでしょうか。

あるいは、AIエージェントのように、道具を使って何段階も調査を進める仕組みなら、こうした問いに違う反応を示すのでしょうか。

もちろん、探索を重ねれば必ず答えが見つかるわけではありません。最初の仮説が的外れなら、いくら調べても目的の情報にたどり着けないかもしれません。

それでも、これからどんなことができるようになるのか、ちょっと楽しみです。

それにしても、日曜日の午前中に3人とドライブしているという、たった一文から、ここまで考えることになるとは。

AIに意地悪をしたつもりが、最後は私の方がずいぶん楽しませてもらいました。(笑)


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